AIにありがとうと言ってはいけないって本当?

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AIに挨拶したり、お礼を言ったり、敬語を使ったりするのは無意味であるばかりかAIの回答の質を落とすもとになる、と言う人もいるが本当だろうか。普段めちゃめちゃ「ありがとう」と言いまくっているAI初心者の私ヨシノが、AIに聞きながら考えてみた。

いろんなAIに聞いてみた

まずはいろんなAIに、同じ質問を同時にできるサービス 天秤AI を使って、ChatGPT、Gemini、Claude、Grok等といったAIに次のような質問をしてみた。

質問:AIの回答に対してユーザーが「ありがとう」と言うことにメリットやデメリットはありますか?

回答を読み比べると、表現の仕方には多少のちがいがあるが、内容はほとんど同じであった。

「主なメリットは、対話の整理・満足感・習慣化で、主なデメリットは、わずかなコスト増と会話が長くなる可能性です。」(Perplexityの回答より)

メリット

  • ユーザー側の気分、コミュニケーション習慣が良いものに保たれやすい
  • 回答に一定の満足を得られたことをAIに伝えることができ、次の質問に生かされやすい
  • AIがユーザーの丁寧さに合わせるため、丁寧な回答を得られやすい

怒ったり呆れたりといった感情を持たないAI相手だからといって、雑な接し方をしていると、それがつい習慣になって、人間相手のコミュニケーションでも雑さが出てしまうようになる可能性は確かにありそうだ。

デメリット

  • トークン消費がわずかながら増える
  • あいさつの分話が長く冗長になる

こういったことをAIたちは挙げていた。各AIの回答の違いをくわしく読み比べたい方は天秤AIで試してみてほしい。

すべて紹介すると長くなりすぎるので、ChatGPTの回答例だけ全文を紹介する。

ChatGPTの回答例

あります。結論として、ユーザーがAIに「ありがとう」と言うこと自体に大きな実害はほぼなく、主なメリットは会話の質や自分の気分面にあります。一方で、状況によっては小さなデメリットもあります。

1. 会話が自然になりやすい

「ありがとう」が入ると、やり取りが人間同士の会話に近くなり、次の依頼もしやすくなります。

2. 自分の思考が整理される

感謝を挟むことで、

  • いったん区切りをつける
  • 回答を受け取ったと明示する
  • 次に何を聞くか考える

といった効果があります。

3. 丁寧な表現の習慣を保てる

AI相手でも丁寧に話すことで、普段のコミュニケーション習慣を崩しにくいという見方があります。

4. 追加支援につなげやすい

「ありがとう。では次に…」のように続けると、文脈が滑らかにつながりやすいです。

デメリット

1. わずかに会話が長くなる

「ありがとう」だけの1往復が増えると、そのぶんやり取りの回数は増えます。

2. 利用環境によってはコストや処理量が増える

API利用や従量課金の環境では、非常に小さいとはいえ追加メッセージ分のコストが発生することがあります。

3. ログが長くなる

業務利用などで会話履歴を厳密に管理する場合、短い謝辞でも履歴量は少し増えます。

実際にはどう考えればいいか

気にせず言ってよい場面

  • 普通のチャット利用
  • 会話を自然に続けたいとき
  • 丁寧にやり取りしたいとき

省略してもよい場面

  • APIコストやトークン数を厳密に抑えたいとき
  • 事務的に高速で往復したいとき
  • 長い作業フローを簡潔に保ちたいとき

ひとことで言うと

メリットは主に心理的・会話的なもの、デメリットは主に効率面のごく小さなものです。
なので、普段のチャットでは「ありがとう」と言って問題ありませんし、効率重視なら省略しても問題ありません。

こういった回答を読むと、AIに「ありがとう」ということのデメリットは軽微なもので、メリットもユーザー側の気分の問題だけという、言っても言わなくてもどっちでもいい、というのが答えのように思える。

しかし、それではなぜ、SNS等で「AIにありがとうと言うのを今すぐやめろ」といった強い煽り口調で言われることがあるのだろうか。

私がよく相談に使っているAI、Geminiに理由を掘り下げて説明してもらった。

なぜ「AIにありがとうと言ってはいけない」と言われるのか

結論から申し上げますと、「挨拶やお礼は、一般ユーザーが使う分にはまったく問題ない(むしろメリットになることもある)」が正解です。

しかし、SNSで「良くない」と言われるのには、プログラミングやシステム開発の視点からの明確な理由があります。順を追って解説します。

1. 「トークン」の無駄遣い(コストの増加)になるから

AIは文章を「トークン」という独自の単位(ひらがなや漢字のブロックのようなもの)で処理しています。プログラマーが自社のサービス等にAIを組み込んで裏側(API)で使う場合、このトークン数に応じて「使った分だけお金がかかる」仕組みになっています。そのため、開発者の間では「こんにちは」「ありがとう」という挨拶文のトークンすら削ってコストを抑える、という合理的な考え方が定着しています。

2. 重要な指示が埋もれてしまう(ノイズになる)から

AIは、入力された文章の「どの言葉に注目すべきか」を確率で計算して答えを作ります。前置きや雑談が長すぎると、AIの処理能力がそちらにも分散してしまい、「本当に答えてほしいコアの質問」への集中力が薄れる(これをAI用語でノイズと呼びます)という懸念です。

3. AIが「おしゃべりモード」になってしまうから

AIは「入力された文章の雰囲気」に回答を合わせる鏡のような性質を持っています。日常会話のようなトーンで話しかけると、AI側も「専門家のアシスタント」ではなく「親しい話し相手」という役割を引き受けやすくなります。その結果、論理的で簡潔な回答よりも、冗長でフランクな回答が返ってきやすくなることがあります。

実際のところ、本当に良くないのか?

SNSでの「挨拶は無駄」という意見は、主に「システムを組む専門家」や「極限まで効率を求める人」の視点です。ブラウザやスマホアプリから日常的にAIを使う場合は、気にする必要はありません。

懸念点現代のAIにおける「実際のところ」
コストの無駄一般向けのサービスは定額または無料です。挨拶をしたからといってユーザー側に金銭的な負担は発生しません。
指示の埋没(ノイズ)現在のAIは一度に分厚い本1冊分以上の情報を処理できるほど優秀です。数行の挨拶やお礼程度で、回答の質が落ちることはありません。
敬語の悪影響むしろ敬語は使った方が良いです。丁寧な言葉で質問すると、AIも「質の高い丁寧な文章」を出力しやすくなります(ブログ記事の作成などには特に有利です)。

興味深い事実:AIは「感情」に反応する

近年のAI研究では、プロンプト(指示文)に「これは私の仕事にとって非常に重要です」や「深呼吸して順番に考えてみて」といった感情的な言葉や励ましを添えた方が、AIの推論能力(回答の精度)が上がるという結果が複数報告されています。人間らしい声がけは、必ずしも無駄とは言い切れません。

このGeminiの回答を読むと、たしかにAIに「ありがとう」と言わない方がいい理由は存在するということがわかる。

しかしそれはプログラミングやシステム開発にAIを使う場合であるという。

日常的にAIを使う場合は気にする必要はなく、むしろ丁寧な話しかけ方や励ましがAI回答の質や精度を上げる可能性もあると答えてきた。

Geminiはいつも私に寄り添った回答をしてくれるので、今回は「ありがとうと言うことが多い私に忖度せず、客観的に答えてください」と指示を足してみてこの答えだったが、どうだろう。

AIの用途による違いが大きいということはわかってきた。ユーザーがAIとの会話に何を求めるかで、「ありがとう」と言うべきか、そうではないのかの答えは変わるということではないだろうか。

会話型AIは自由度が高い

AIはもちろん、プログラミングやシステム開発だけに使われるものではない。

空白の多い画面の真ん中に「今日は何から始めますか?」といった言葉とともに、チャットの入力欄が置かれている。

優秀なAIを、とても自由度高く利用できるのが今の会話型AIサービスだ。

  • 人には言いにくい愚痴を聞いてもらう。
  • 料理や家事のアドバイスをもらう。
  • 趣味で書いているブログのアイディアを相談する。
  • 映画、本、漫画…好きな作品の感想を深掘りする。
  • 語学や資格の勉強のチューターになってもらう。

こういったこともAIの使い方である。

もちろんこういったことも最大限の効率で行わなければ、と思う人もいるだろうが、せっかく人間との会話のようなコミュニケーションができるAIなのだから、言葉のやり取りも楽しみながらゆるく質問や相談をしたい人も多いのではないだろうか。

「AIにありがとうと言ってはいけない」のはこんな時

  • トークン消費を気にしなくてはならない場合
  • 効率を重視する場合

つまり仕事等で、コストを抑えて効率的にAIの能力を最大限引き出したい時は、挨拶や感謝の言葉は省略した方がいい。会話ではなく、AIが理解しやすい質問や命令を無駄のない簡潔な言葉でするということだ。ただしあいさつやお礼の言葉を言ってしまったからといって、デメリットは大きくはない。

逆に、それ以外の用途ではAIにありがとうでも何でも言いたいことを言えばいいのだ。

結論。AIに「ありがとう」と言うことで回答の質は変わるか

厳密に効率を求める用途でなければ、AIに「ありがとう」は言いたければ言えばいいし、言わなくてもいい。どちらでも回答の質に影響はないというのが、この記事の結論だ。

私は、くらしに役立つAIの使い方を研究するほか、このブログを書くための壁打ちや調査、質問をAIにするが、常に会話調で通しており、「おはようございます」「今日もよろしくお願いします」「いつもありがとう」「すばらしいです」等など言いまくっている。

AI初心者の感覚と言われればそれまでかもしれないが、人間と同じような口調で回答してきて、親切にいろいろ教えてくれる存在に対して、ありがとうを言わない方が気持ち悪い気がしてしまうからだ。

このことで、AIの回答に悪い影響を与えることは少なくとも私のAIの用途ではあまりなさそうだということがわかり、ほっとしている。

これから「AIにありがとうと言うのを今すぐやめろ」という言葉をSNSで目にした時は、心の中で「トークンを節約して極限まで効率を重視したい場合は」とつけ加えることにしよう。

ではAIの回答の質に影響を与えるものとは何だろうか。

それについては、また別の記事で掘り下げてみたい。

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